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Posted by ミリタリーブログ  at 

2013年04月18日

別れは始まり。



ミリブロの「趣旨」とは異なると思いますが、普段僕がここで書いていることの「主旨」とはズレていないと信じていますし、1人でも多くの方に、彼が<いた>ことと、そして<もういない>ことをお知らせしたくて、この記事を書きます。
NYや東京の名だたるクラブでプレイした素晴らしいクラブDJ、HIVについての正しい知識を訴え続けたアクティビスト、ファッションやライフスタイルのみならず、「選んで生きる」ことの卓抜した表現者であった
パトリック・ボンマリート氏が4月15日早朝、この世を去りました。

パトリックについては、彼が10年にわたり連載をしていた「週間SPA!」担当エディターによる記事に詳しいので、こちらをリンクいたします。

僕にとっては19年来の公私ともに渡る仲間であり、ワガママで甘えん坊な悪友であり、音楽や生きるセンスの先生であり、本気で叱ってくれる兄貴であり、最高の理解者でした。そして、多くの人にとっても同じようにそうだったはずです。

クリエイターとして、ジャーナリストとして壁にぶつかっていたとき、彼の部屋でこんなことを言われました。
 「スミちゃんは何かが欠けたヒト。
  でもスミちゃんが作るモノはいつも、ボクが知ってるなかで最高だよ。」

真に「ユニーク」であることの素晴らしさを、その難しさを含めて、全身全霊、一生をかけて表現し尽くした人でした。
個人は皆、唯一でマイノリティなのです。違いを含めてそれを認めあい、主張しあい、許しあうこと。選んで生きることを、パトリックは妥協することなく貫きました。その人生が幸せだったと、僕は信じるほかありません。

彼の訃報に触れて、脊椎反射的にFacebookに寄せた文章を転載します。

**********************



パトリック、レンズマンです。

あなたが横浜ベイホールでのイベントに出演するために運転してきたMiniが
駐車場の段差に引っかかっているのを助けたのが、おそらく'94年の春。
その奇遇から当時出演していたYokohama-16ersでの共演が始まったことで
僕たちの付き合いは始まりました。
誕生日が同じだってことにビックリしたり、いろんなところに取材に行ったり
一緒にごはん作ったり、温泉に入ったり、スノボーを始めたり。
ある日あなたが、バリアフリーの現状を検証するため、ということを隠して
車椅子でスタジオに現れたことがありましたね。
僕はまず泣いてしまい、そして本気で怒ってしまいましたね。

その後、僕が初めてプロデュースした番組「GrooveRacer」でも
レギュラーリポーターを引き受けてくれました。
さらに、彼が新旧幅広い音楽を紹介するラジオ仕立てのVJ番組
「RadioGroove」のVJも担当してもらいました。

お互いに「うつ」であることを確認したのは、ゲレンデに向かうクルマの中でした。
「ポジティブに生きること。」それをいつもメッセージしていたあなたでしたが
僕の病状が悪化した時は
「そのままの自分を受け入れること・自分を責めないこと」を教えてくれましたね。

僕はもう、大丈夫だと思います。
常にモノゴトは多面体だから、多面的に捉えること。
自分に吹いてくる風はすべて「いい風」で
順風であろうが逆風であろうが、その風に帆を張って
進む方向のことを「前」ということに気付いたんです。
あなたの影響が大きいのは言うまでもありません。

頼まれていた、あなたとヤマト君のドキュメンタリーに
着手できなかったことが残念だけど、後悔はしていません。
まだこれからだって、作る方法はいくらでもあるんだから。

4月13日の朝だったと思う。
屋根裏にあなたがフリップに書いたメッセージがあることをふと思い出し
仕事部屋に移していました。

 今日を生まれ変わった自分として新しく生きる。
 明日をすべての真心と愛をもって生きる。
 心配なんていらないさ!

ほんとはね、パト、叫びたい気持ちなんだ。
でも、アタマのなかで轟音で鳴り響くパトのプレイに身を委ねながら
今日の僕がすべきことをするよ。明日のために。

Keep on groove!
天国のフロアで会えたらまたあの目配せを下さい。
20年来のトモダチだよ?
30年くらい待ってくれるだろ?

***************

パトリック、あなたは出会ってからすぐ、僕の一部になりました。
そしてこれからもずっと、そうあるでしょう。
あなたがもういない、という現実は
僕たちがずっと親友であるということの証明であると、僕は考えることにします。
別れはまた、始まりであると。

ありがとう。






  

Posted by おすみ@SAS相模原  at 10:33Comments(2)