2013年03月21日

ドラグノフ兄弟③

うかうかしてたら桜が咲き始めてしまった昨今、みなさま如何お過ごしでしょうか。

まだ「花粉症」なる言葉が無かった昭和50年代、春を迎えると絶え間ないくしゃみを友達にからかわれ、夜毎枕を涙ならぬ鼻血で濡らしていたほどの「アレルギー性鼻炎(当時)」だった僕も、カイロプラクティックによる体質改善でそれを克服し、はや30年。
療養中ながらかなりコンディションが上がって来るも、療法変更初期の眠さと風邪、SAS-coreメンバーの忙しさ、そして何丁のASGを持ち込もうが結局スコーピオンによる一撃離脱に落ち着いてしまう、というマンネリズムからフィールドを遠ざかってしまった3月も、もう下旬になってしまいました。

マンネリズム打破の最終兵器、ハイサイクルとミッドレンジ・スナイピングのスイッチヒッター、そしてロマンスのグレートシューターを目指すクールな僕はまるでヤング・アメリカン(よくなくなくなくなくなくない?)・・・は、実に1年ぶりにASG、S&T製SVD、つまりドラグノフをヤフオクにて購入しました。中学生の夏休みの宿題かと思われるストックを削り直し、鬼バネをリーガライズし、内部の極盛り黒グリースを拭きとり、モーターをEG-30000HCSに、シリンダー容積に対して長過ぎるインナーバレルをPSG-1用のNTバレルに、ホップパッキン&押しゴムをそれなりのものに換装したところ、公式(といっても、息子の立ち会いですが)には8mで15mm、非公式にはほぼワンホールの記録を叩き出した・・・くらいのところまでが前回までのあらましです。

では、その後のSVDはといいますと・・・

ドラグノフ兄弟③
ありゃりゃ。バラバラです。

その理由はと申しますと、いわゆる「中華あるある」ですので、大陸ASGのチューナーさんおよびそれに準じる方は是非、読み飛ばして下さいまし。時間の無駄と思われます。それ以外の方にとっては<そこそこに>くらいには役にたつように書きます。

<8mワンホールのアキュラシー>を土産に、僕は「シューティングの師匠」の家に向かいます。
しかし、「メンタルのブレ」か?僕どころか、師匠にもそんな結果は出せないばかりか、撃てば撃つほどバラけるグルーピングにウツになる2人。

ドラグノフ兄弟③
もしや、と思い、通常分解のうえインナーバレルを覗いてみたところ、驚きの汚れっぷり。黒いオイルの固まりのようなものが、長いバレル全体に斑状に付着。インナーバレル清掃を5回繰り返さなければならないほどに・・・。

ドラグノフ兄弟③

S&T製SVD(右:CYMAブランドのものと同一製品のようです。どうりであのストック・・・)はご丁寧にも、ローディングノズルが透明パーツです。
ドラグノフ兄弟③
これは清掃後の写真ですが、清掃前はこの透明パーツの内側にベッタリと黒いグリースが吹き出した跡がありました。
スプリング交換の際に拭き取ったはずなのに・・・

ドラグノフ兄弟③
メカボ分解図。あれほど拭き取ったはずのグリースがベッタリ。まさに中華油地獄の様相。しかも、このグリース、もともとは東京マルイの高粘度グリースと同じ真っ白なものでした。それが真っ黒に・・・。つまり、金属粉のマックシェイク状態!
ミスにはすぐに気がつきました。リアルソードのデッドコピー品であるS&T・SVDの各ギアには、軽量化の穴が開いています。そこにグリースが隙間無く入っていたことを、僕は最初の整備で見落としていたのです。

ドラグノフ兄弟③
最近のマルイのハイサイクルモデルもそうですが、大陸ASGのメカボックスが黒く塗装されていることにお気づきの方は多いと思います。
それはボルト(カバー)を開けたときのリアルさ?というより、表面仕上げの省略を隠すためなのではないか?とさえ思いました。
と、いうのも、モーターの位置を調整しギアノイズとギアどうしのフリクションを軽減するのに重要なイモネジが「効いていない」感じがする。・・・当たり前でした。モーターがフレーム内部のバリや塗装と干渉して上下に動かないのです。

ドラグノフ兄弟③
上代にして10万円近いRS社製品に比してスチールパーツ(ASGの素材にスチール、つまり鉄ないし鋼を多用することには不安を感じますが・・・)の使用を避け、アルミ/亜鉛アロイダイキャストを多用しているS&Tゆえに、いくつかのパーツを作り直しました。写真上のアッパーレシーバー固定レバーもそのひとつ。一見あの「フタ」を固定するだけのパーツですが、実はメカボックスをロウワーレシーバーに固定するための大事な部品です。レバー(スチール)とカム(亜鉛合金)の固定が、ただのピン打ち込みですぐにナメる仕様だったので、ここはネジを切り六角ボルトに変更。一緒に写っているベアリングとワッシャーはスプリングのヨレ防止のためにピストンに仕込みました。亜鉛合金のベースは木製のものを削り出し換装、軽量化を計りました。

ドラグノフ兄弟③
簡単にシム調整し、組み直したメカボックス。

ドラグノフ兄弟③
チャンバーまわり。アウターバレルに無造作に3つ孔けられた穴が「変造防止」を訴えているように見えます。

ドラグノフ兄弟③
ホップまわりはちょっと贅沢仕様にしてみましたが、結果的には「トゥーマッチ」だったと思います。

さて、この状態でアセンブルを終え、何発か撃ってみると、音、弾道ともにたいへん良い感じでした。
サイト調整を始めると・・・まずは初速が不安定になり(0.25gで72〜51m/s)
そして給弾不良がはじまり、遂には給弾がされなくなりました。

・・・また分解か・・・。

ドラグノフ兄弟③
給弾不良や初速の不安定が始まったらタペットプレートを疑え、というのは、yo!務員さんがバイクでそうしてきたように、エアガンを壊し、バラしを繰り返してきた僕の直感なのですが、今回もまさにそれでした。S&TのタペットプレートはほとんどPP(ポリプロピレン)のような材質で、マルイほど硬いものではありません。つまり、強い力がかかっても折れることはまず無く、カムが「飛ぶ」ことがあってもある程度は動き続けます。今回はその変形によりタペットプレートの後退が0.5mmほど足りない状態になったことが原因のようです。

ドラグノフ兄弟③
原因はこれ。ロウワーレシーバーとトリガーガードを支えるフレームを固定するピンの下にあるネジです。
これはレシーバーとメカボックスを固定する大事な「キングピン」なのですが、昔の外車を弄った(そして泣いた)ことがある人にはおなじみの「ポジネジ」で、普通のドライバーではまず絶対必ず基本的にナメるネジなのです。しかも柔らか素材。
これを六角ネジに替えたのですが・・・

ドラグノフ兄弟③
ちょっと写真が判りづらいのですが、この「キングピン」はメカボックスにルーズにフロートされた六角ボルトにかみ合うようになっています。(フレームにネジは切られていません。)したがって、このネジをボルトに入れるのはかなりコツが要りました。改善前のボルトは薄く、さらにネジと微妙にピッチが合っていない始末でした。
これを改善したのですが、不覚にも交換した六角ネジが若干長かったのです。ネジはボルトを貫通してメカボックス内部に達しないと十分な強度が得られない設計のようですが、メカボ内部との間に仕切りは全くありません。文字通り筒抜けです。
つまり、キングピン(ネジ)が,柔らかい材質のタペットプレートに干渉、動きを妨げてしまったのです。

幸か不幸か、S&TとRSのメカボックス内パーツは完全互換らしいので、さっそくRSのタペットプレートを発注。明日にも到着とのことです。中華パーツの供給が中2日で、とか、時代も変わりましたねぇ。

先日の更新へのコメントで、「大陸モノに押されていた日本製ASGの売り上げが再び伸びている」との情報があることに触れました。
僕は今回のS&Tドラグノフの完全分解でその理由がちょっと判った気がしました。
各ショップ・チューナーの皆さんの尽力により、大陸製ASGの「実用性」は飛躍的に向上しました。
3年ほど前、僕がよく香港に行っていた頃のD-BOYS製品は、分解するだけでダイキャストパーツが割れる始末でした。
ブランド商品の例を挙げるまでもなく、コピーはいつまでたってもコピーに過ぎません。それを設計し、デザインした人の思想やユーザーに対する思いまではコピーできないし、製造公差や材質設定、QCといったコストがかかる部分を「合理化」という名の「切り捨て」で削らなければ、コピーするというリスクを冒してまでの利潤が得られないからです。

おそらく、S&Tをはじめ「高級」でない中華ASGは、出荷時とユーザーの手に渡って暫くの間作動すれば良い、という「QC」で日本に来ていると思われます。(それでは現地でクレームが来ないかって?中国では実銃はもちろん、銃に類したASGの所持は認められていません。)

さて、これを「いつもの中国ならではの問題だね」と笑っている場合でしょうか?

いま、そういう「コピーできないもの・心意気」そして「本当の意味でのユニークさとそれを認めること」の欠如による問題が、身の回りのそこら中で起きているのを感じます。

カタチがカッコ良くて、最初は良く動き、儲けが出れば良い・・・そんな考え方が日本の本来のクラフトマンシップやコミュニティのあり方までをもおかしくしていないか?

あ、いつもの考え過ぎですか?TMNでいうところのギター担当ですか?


ドラグノフ兄弟③
グリースに混じる金属粉の正体であろうメカボ内部のバリとギアの角。
これを削るのに大活躍だったリューターは、久々に引っ張り出したコレ。
若いファンは知ってるかなあ?マルイの「作る工具シリーズ」。
リューターなんて100均で(500円くらいで)売ってるじゃん、と言われそうですが
ガングリップ&トリガーの付いたコレは手放せません。やっぱりマルイ製だし。



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Posted by おすみ@SAS相模原  at 12:00 │Comments(2)カスタム

この記事へのコメント
ドラグノフの手直し、ホントにおつかれさまです。

私も去年の今頃、A&KのミニミMk1を購入したのですが・・・
実戦投入したところ、どうやらスイッチが焼きつきを起こしたようで、
引き金を離しても撃発し続けるオソロシイ暴発銃に!
スイッチは国産に換装しないといけませんね・・・。しばらくお蔵入りです(笑)

モーターは換装、ギアボックスとかチャンバーとかバレルもいろいろ整備したんですけどねぇ。エアガンにもツボがあればいいんですが(中華だけに)

箱出しでイケる国産品はホント偉大だなと思うのであります。
Posted by ヤナギダ at 2013年03月23日 02:09
(中華だけに)ツボがあれば・・・ウマい!

ヤナギダさんがミニミとは意外です。
と、いいつつ僕も発売と同時にTOPのミニミを購入、作動不良で同日ショップにて交換、さらに初回の試撃でピストンクラッシュ。アングス式に換装、チャンバー不良でミニ電動ガン(10禁)のような性能に・・・・という具合で、いまだ本格的実践投入ができぬまま、メーカー終売。

マルイにせよ箱出し1戦めでギアクラッシュというAEGもありました。
要は「失敗しないこと」より問題に対する対応力と改善なんですね。
Posted by スミソン@SAS相模原 at 2013年03月23日 14:31
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